大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和32(オ)1031 判決

主 文

原判決を破棄する。

本件を仙台高等裁判所に差し戻す。

理 由

上告人(選定当事者)の上告理由第三点について。

原審は、上告人が昭和二八年二月二七日被上告人発会の(は)種一〇万円会五号

九番、一〇番、一一番無尽に加入し毎月各組につき金二、六五〇円宛三六回に払込

をなすべき約のところ、同月から六月まで五回に合計三万九、七五〇円、同年七月

から同二九年三月分まで七万一、五五〇円(以上合計一一万一、三〇〇円、すなわ

ち、右のうち一一番無尽については三万七、一〇〇円となる)の払込をした事実、

ならびに、上告人が昭和二八年七月七日選定者D、同Eを連帯保証人として被上告

人より金一二万円を弁済期を昭和二九年一二月三一日として借り受けた事実、更ら

に上告人が昭和二九年九月三〇日前記一〇万円会五号一一番無尽につき解約申入を

したので被上告人はこれを承認して合意解約した事実を認定したものと認められる。

(原判決ならびにその引用する第一審判決の判示するところは、当事者の主張の整

理が不充分なため明確を欠き判示理由もまたいささかずさんのそしりを免れないが、

以上の事実を認定したことは認められる。)なお、原審は九番、一〇番無尽が何れ

も解約になつたことは当事者間に争ないものの如く判示しているが、被上告人は、

第一審以来そのような主張をしておらず、同無尽は昭和三一年二月二六日満会とな

つたことを主張しているのである。一方、上告人は、原審において、右契約は昭和

二九年七月二〇日解除された旨主張したが、この事実は原審の認めなかつたところ

であり、他に解約の事実を主張していないのであるから、当初の契約の趣旨に照ら

し、右無尽は被上告人主張の日をもつて満会となつたものというべきである。

ところで、被上告人は九番、一〇番無尽が満会となつた後、昭和三一年七月一日

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上告人からなされた相殺の意思表示について、当時上告人に対し受働債権として金

二、〇〇〇円の解約手数料債権を有した旨主張し、原審もこの主張を認容したので

あるが、原判決の引用する甲一号証たる無尽契約の文言によれば、被上告人が加入

者から解約手数料を徴しうるのは、加入者が無尽契約の解約申入をなした場合に限

られるものと解するほかないから、他に特段の主張、立証のないかぎり原審がすぐ

様右手数料債権の発生を是認したのは違法だといわなければならない。

また、被上告人の上告人に対する右一二万円の貸付金債権(弁済期昭和二九年一

二月三一日)と判示無尽掛金返戻受動債権との相殺につき、原審は受働債権として

昭和三一年六月三〇日までの損害金を計上しているけれども、元来相殺の意思表示

は「双方ノ債務カ互ニ相殺ヲ為スニ適シタル始ニ遡リテ其ノ効力ヲ生ス」(民法五

〇六条二項)るのであり、右一二万円貸付金債権の弁済期は昭和二九年一二月三一

日であり右無尽掛金を返戻すべき日は前記判示によれば遅くともその満会となつた

昭和三一年二月一六日(確定期限)であるから、相殺は少くとも昭和三一年二月一

六日に遡つてその効力を生ずる筈であり、従つて右相殺適状以後においては遅延損

害金は生じなかつたことになる筋合であるのに、原審が被上告人の主張を容れ右の

如く昭和三一年六月三〇日までの損害金請求債権を是認したのは右民法の規定の解

釈を誤まつたものというほかない。

してみれば、他の論点について判断するまでもなく論旨は結局理由があり原判決

は破棄を免れない。

よつて民訴四〇七条一項に従い裁判官全員の一致で主文のとおり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 垂 水 克 己

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

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裁判官 高 橋 潔

裁判官 石 坂 修 一

選 定 者

会津若松市栄町一七 日 下 今朝之助

同市融通寺町二二 佐 野 久太郎

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